私は、だれよりも彼女の事を信頼していた。
憧れだった。
彼女の正当性がなによりも好きだった。
過去形にしたくない言葉だけれど。
今も彼女は心の深いところにいて
私のひとつの指針となっている。
私だけ思っているわけではなかった。
私の一方的な信頼ではなかった。
あの幼い私でも彼女と築けたものは確かにあったのだ。
既に「どうでもいい」存在ではなかったのだ。
彼女のなかで私は消えてしまっていなかった。
私の恐れていた事はこうも、容易く、彼女の言葉で解決される。
数年越しに融解した心。
「どうでもいいなんてことないんだから」
今は彼女がそう、泣いて、笑って、言ってくれる気がする。
わたしだけではなかった。
わたしだけでは。
こんなにも苦しくて、うれしい事はあるだろうか。
どうして私は彼女を裏切ったのだろうか。
どうして直接腹を割って話さなかったのか。
私達は現在同じ気持ちを抱いていると考えていいのだろうか。
今になって当時の事をともに振り返る事が出来るのだろうか。
あのどろどろとした醜い感情は今、
私の中で苦い澱になったまま沈んでいる。
消去しないのは自分にいつまでも戒めたいからだった。
せめてそれだけでも残しておいたら
彼女と私が存在していた事は事実だったと思えるからだった。
だけど今は違う気がする。
澱に足を囚われたままではあの時と一緒だから。
今私は生きているから、今、そしてこれからを見ていきたい。
「過去は悔やむものじゃなくて未来の糧にするもの」
当時から彼女はそう言っていた。
その言葉に何度救われたんだろう。
だからもう、振り返らないよ。
私は今度こそ私自身で彼女との絆を繋ぎたい。
もうひとりで怯えるあの私はいないから。
今思えば彼女も幼かったのかもしれない。
私からは遠い先にいるように思えた彼女でさえ、
当時は14歳の少女だったのだ。
私達は新しく築く事が出来るだろうか。
今度こそ、一緒に昔の自分たちを赦しにいきたい。